修行僧ぷってんの雑記

移動メインのトラベラー

都会の鉄オタが知らない地方の現実 その3

前回、前々回の続きです。 

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こうした「クルマ依存」な地方に対して、アレルギーを示し、「鉄道を維持・新設し、クルマ依存社会からの脱却を目指そう」という声が上がっているのを、Twitterでよく見かけます。最近主流なのは「LRT」でしょうか。

 

そういう声を上げるのも結構ですが、どうもLRT導入ありきな論調が蔓延していますし、いつも「仮想敵」としてクルマの存在がちらつきます。

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LRTのメリットとして、推進派からは「交通弱者へのやさしさ」や、「優れた定時性」「運転手不足の解消」「都市中心部への回帰」が挙げられます。

 

確かにこれらのメリットは「嘘ではない」でしょう。

 

しかし、よく考えていただきたいのですが、交通弱者に対して最も優しいのは、LRTなんかではなく、タクシーです。

 

自宅から至近距離まで配車でき、好きなタイミングで移動出来るタクシーと、最寄駅まで歩く必要のある鉄道。どちらが交通弱者に対して優しいかは、言うまでもありませんよね。

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「定時性の確保」という点も、都市圏はともかく、地方では通勤時間帯以外「時間が全く読めない」という事もありません。(ただし、宇都宮のように、通勤時間帯における所要時間の増大が問題なのですが)

 

「運転手不足の解消」というのも、「路線バスやBRTでは人手不足になり、LRTなら人手不足が解消される」という、謎の理論によって歪められています。

 

 「都市中心部の回帰」も、市街地に向かう導線を作っただけでは実現しません。

 ※その導線(ここではLRTを指します)を整備する以外にも、魅力あるテナントが必要なのですが、「市街地中心部に魅力あるお店」は、行政が手出し出来る範疇ではなくなりますね。

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加えて、「郊外ショッピングモールよりも、敷地面積が狭くならざるを得ない都市中心部で、一体どの程度戦えるのか?」というのも、疑問が残ります。

 

そもそも、郊外のショッピングモールが悪だとなんだと言われても、結局は駅前の百貨店や商店街がビジネスモデルを変えられず、押し寄せるモータリゼーションの波に対して、何ら手を打てなかった現実は忘れてはいけないと思います。

 

 

  

結局、LRTを推すには、それ相応の理由と裏付けが必要になってくるわけで、テンプレのように「交通弱者に対して優しい!」「優れた定時性!」「中心地が蘇る!」と主張したところで、いまいちピンと来ないのも無理はないです。ましてや、市民(県民)の税金がかかるならなおさらです。 

 

日本でLRTが導入されない理由は多々ありますが、最大の誤解は「LRT導入で、街は活性化され、渋滞が解消。その結果、クルマ社会を脱する事が出来る」という認識にあると思います。

 

※もっとも、LRT推進派は、その「成功例」からほど近い、高岡市の衰退っぷりには、誰も触れませんが。(まさか北陸新幹線が高岡駅に乗り入れなかったから、とは言いませんよね…?)

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そもそも、LRT導入によってクルマ社会からの脱却は出来ているのでしょうか。

 

やや大雑把な計算ではありますが、クルマを1人1台運転していたのを、全員ライトレールに切り替えたとしましょう。

富山ライトレールの1日の利用者は、2019年現在で約5,000人との事なので、せいぜい1日5,000台しか減らないのです。

 

※富山ライトレールの前身、旧JR富山港線時代には乗客0だった、なんて事はありません。さらに、並走する富山県道30号富山港線の車両は、この20年で5,000台も減っていません。そして、富山県道30号富山港線における該当区間の12時間通行量は、「現在も」10,000台近いです。

 

別に、これをもって「LRTは失敗だ!」と論じるつもりではありません。ただ、推進派が「成功例」として挙げている富山でさえ、こんなもんなんです。

 

結局のところ、「LRTがあるから市街中心地が活況を呈する」のではなく、「市街中心地が活況を呈する方法として、LRTは1つの手段ではある。が、LRTが絶対必要というわけではない」

 

続きます。

 

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